MS患者さんは下の図の如く様々な症状が出現する可能性があります。本来はこれら全てを評価すべきなのですが、現実的ではありません。
そこで,MSOACという専門家グループがMS患者さんに高頻度でみられ,患者さんが不自由を感じる代表的な4つの症状を評価する検査を提案しています。この検査はMS Functional Composite (MSFC)と呼ばれ,高次脳機能、手の機能,歩行スピード,視機能を比較的簡潔に評価できるように設計されています。MSFCは海外では臨床研究やMS新薬の治験などで標準的に用いられており,一部の海外MS専門外来でも症状の評価に用いられています。
北海道医療センターではMS患者さんに1年に1度の頻度でMSFCの4つの検査のうち高次脳機能、手の機能,歩行スピードの検査を行い,症状の進行がないか確認しています。視機能検査に関しては現在導入を検討中です。本検査は研究として行っており、検査を受けていただく前に同意書にサインをいただいています。
高次脳機能検査(Processing Speed Test, PST)
本来MSFCではSymbol Digit Modalities Test (SDMT)と呼ばれる検査が採用されていますが、北海道医療センターではそのデジタル版のPSTと呼ばれる検査を用いています。検査時間は2分間でいかに多くの図形と記号の組み合わせを答えることができるか評価します。PSTに関してはこちらの動画もご覧ください.
歩行スピード検査(Timed 25-foot Walk, T25FW)
7.62メートルの距離を2回歩いてもらい,平均スピードを測定します。
手の機能検査(9-hole Peg Test, 9HPT)
右の皿の中にある短い棒(peg)を一つずつ左の9つの穴に入れて、戻すまでにかかる時間を計測します。左右の手で行います。